土地の境界を確認するとき、多くの方が最初に見るのがブロック塀やフェンスです。
隣の家との間にブロック塀があると、「この塀が境界線だろう」と思う方は少なくありません。
しかし、実際には、ブロック塀やフェンスが必ず境界線とは限りません。
たとえば、
「ブロック塀の中心が境界なの?」
「塀の外側までが自分の土地?」
「古いフェンスと境界杭の位置が違う」
「擁壁が隣地にはみ出しているかもしれない」
「外構工事前に境界を確認したい」
このような相談はよくあります。
結論からいうと、ブロック塀は境界の目安になることはありますが、境界そのものを決めるものではありません。
境界を確認するには、塀の位置だけでなく、境界杭、地積測量図、公図、境界確認書、過去の測量資料などを総合的に確認する必要があります。
この記事では、ブロック塀と境界線の関係、塀と筆界が違うケース、越境している場合の注意点、土地家屋調査士に相談すべき場面をわかりやすく解説します。
ブロック塀は境界線になる?
ブロック塀は、隣地との境に作られていることが多いため、境界線のように見えます。
しかし、ブロック塀そのものが法律上の境界線になるわけではありません。
境界を確認するときに重要なのは、土地と土地の境である「筆界」がどこにあるかです。
筆界とは、土地が登記されたときに定められた土地の境です。
筆界の考え方については、法務省「筆界特定制度」でも説明されています。
ブロック塀は、あくまで現地にある構造物です。
そのため、塀の位置と筆界が一致している場合もあれば、ずれている場合もあります。
ブロック塀と境界がずれる理由
ブロック塀と境界線がずれる理由はいくつかあります。
見た目だけでは判断できないため注意が必要です。
塀を自分の敷地内に控えて作っている
隣地とのトラブルを避けるため、ブロック塀を自分の敷地内に少し控えて作っていることがあります。
この場合、塀の外側が境界ではなく、塀のさらに外側に本来の境界線がある可能性があります。
特に、自分の費用で塀を作った場合は、境界線上ではなく自分の土地の内側に設置していることもあります。
境界線上に共同で塀を作っている
隣地所有者と共同でブロック塀を作った場合、塀の中心付近が境界に近いことがあります。
ただし、「共同で作ったから必ず塀の中心が境界」とは限りません。
当時の合意内容や測量資料、境界杭の位置を確認する必要があります。
古い塀が境界と関係なく残っている
古い住宅地では、昔の所有者が作ったブロック塀やフェンスがそのまま残っていることがあります。
当時は境界を正確に測らず、現況に合わせて塀を作っていたケースもあります。
そのため、古い塀があるからといって、それが正しい境界とは限りません。
工事で塀や境界杭の位置が変わっている
外構工事、道路工事、造成工事、擁壁工事などで、塀や境界杭の位置が変わっていることがあります。
特に、境界杭が塀の下に埋まっている場合や、工事中に一度撤去されている場合は注意が必要です。
フェンスや擁壁も境界線とは限らない
境界と間違えやすいものは、ブロック塀だけではありません。
フェンス、擁壁、側溝、舗装の端なども境界のように見えることがあります。
フェンスは境界の目安にすぎない
フェンスもブロック塀と同じように、境界の近くに設置されることが多い構造物です。
しかし、フェンスが自分の敷地内に控えて設置されていることもあります。
また、古いフェンスの場合、境界資料と合っていないこともあります。
擁壁は所有者や管理者の確認が必要
高低差のある土地では、擁壁が境界付近に設置されていることがあります。
擁壁がどちらの所有物なのか、境界線上にあるのか、自分の土地側にあるのかは、資料や現地確認が必要です。
擁壁は費用や安全性にも関わるため、境界確認をせずに工事を進めるのは危険です。
側溝や舗装端も境界とは限らない
道路沿いでは、側溝の外側や舗装の端が境界のように見えることがあります。
しかし、道路との境界は官民境界が関係するため、見た目だけで判断できません。
道路台帳や官民境界資料を確認する必要があります。
境界を確認するときに見る資料
ブロック塀やフェンスの位置だけでは、正確な境界は判断できません。
境界を確認するには、次のような資料を確認します。
地積測量図
地積測量図は、土地の形状、辺長、面積計算、境界点などを示す法務局備付けの図面です。
境界杭や塀の位置を確認する際の重要な資料になります。
ただし、古い地積測量図では現在の現地状況と合わないこともあります。
境界確認書
境界確認書は、隣地所有者などと境界を確認した内容を記録した書類です。
過去に境界確認書が作成されていれば、ブロック塀と境界線の位置関係を確認する手がかりになります。
公図
公図は、土地の地番や位置関係を確認するための図面です。
公図だけで境界を確定することはできませんが、周辺土地との位置関係を把握するために使います。
現地の境界杭
境界杭、金属鋲、境界プレートなどが残っている場合は、重要な手がかりになります。
ただし、境界杭が古い場合や動いている可能性がある場合は、資料と照合して確認する必要があります。
ブロック塀が越境している場合
測量の結果、ブロック塀やフェンスが隣地に越境していることがわかる場合があります。
逆に、隣地の塀や擁壁が自分の土地に入っているケースもあります。
まずは事実確認が重要
越境しているように見えても、実際には境界の位置を誤解しているだけの場合もあります。
まずは土地家屋調査士に相談し、境界資料と現地測量で正確に確認することが大切です。
すぐに撤去を求める前に状況を整理する
越境が確認された場合でも、すぐに強く撤去を求めると隣地トラブルが大きくなることがあります。
いつから越境しているのか、誰が設置したのか、建て替え時に撤去するのか、覚書を作るのかなど、状況に応じて対応を検討します。
売却時には買主への説明が必要になる
ブロック塀やフェンスの越境がある土地を売却する場合、買主に説明が必要になることがあります。
越境が未整理のままだと、売却価格や契約条件に影響する可能性があります。
土地を売る予定がある場合は、早めに境界と越境の状況を確認しておきましょう。
外構工事前に境界確認が必要な理由
ブロック塀、フェンス、駐車場、カーポート、擁壁などの外構工事をする前には、境界確認が重要です。
境界を確認しないまま工事をすると、次のようなトラブルが起きることがあります。
- 塀が隣地にはみ出す
- 境界杭を壊してしまう
- 隣地から工事中止を求められる
- 後から撤去や作り直しが必要になる
- 売却時に越境を指摘される
特に、境界付近に構造物を作る場合は、事前に境界杭や測量図を確認しておくことが大切です。
境界杭が見つからない場合や、塀の位置に不安がある場合は、工事前に土地家屋調査士へ相談しましょう。
土地家屋調査士に相談した方がよいケース
次のような場合は、土地家屋調査士に相談するのがおすすめです。
- ブロック塀が境界かどうかわからない
- フェンスと境界杭の位置が違う
- 擁壁がどちらの土地にあるかわからない
- 境界杭が見つからない
- 外構工事を予定している
- 土地を売却する予定がある
- 隣地から越境を指摘された
- 隣地の塀が自分の土地に入っている気がする
- 相続した土地の境界がわからない
- 古い塀やフェンスが残っている
土地家屋調査士は、法務局資料、地積測量図、公図、境界確認書、現地測量をもとに、土地の境界を確認する専門家です。
ブロック塀の位置だけで判断するのではなく、資料と現地を照合して確認することができます。
よくある質問
Q. ブロック塀の中心が境界線ですか?
必ずしもそうとは限りません。
塀の中心が境界に近い場合もありますが、自分の敷地内に控えて作られている場合や、境界とずれている場合もあります。
Q. フェンスがある場所までが自分の土地ですか?
フェンスの位置だけでは判断できません。
フェンスは境界の目安になることはありますが、正確な境界は地積測量図、境界杭、境界確認書などで確認する必要があります。
Q. 塀が隣地にはみ出していたらどうなりますか?
越境状態になる可能性があります。
ただし、まずは測量で事実確認することが大切です。
対応方法は、越境の程度や設置時期、隣地との関係によって変わります。
Q. 外構工事前に測量は必要ですか?
境界付近に塀、フェンス、擁壁、カーポートなどを設置する場合は、境界確認をおすすめします。
境界杭がない場合や塀の位置が不明な場合は、土地家屋調査士に相談すると安心です。
Q. 古いブロック塀は境界の証拠になりますか?
境界判断の参考になることはあります。
ただし、古いブロック塀だけで境界を確定できるわけではありません。
他の資料や現地測量とあわせて確認する必要があります。
まとめ|ブロック塀は境界の目安になるが境界そのものではない
ブロック塀やフェンスは、境界の近くに設置されることが多いため、境界線のように見えます。
しかし、必ずしも塀やフェンスが境界線とは限りません。
重要なポイントは次のとおりです。
- ブロック塀は境界の目安になるが境界そのものではない
- 塀が自分の敷地内に控えて作られていることがある
- 塀の中心が必ず境界とは限らない
- 古い塀やフェンスは境界とずれていることがある
- 擁壁や側溝も見た目だけでは判断できない
- 境界確認には地積測量図や境界確認書が重要
- 境界杭や金属鋲の位置も確認する
- 越境がある場合はまず事実確認が大切
- 外構工事前には境界確認をしておくと安心
- 判断に迷う場合は土地家屋調査士に相談する
「ブロック塀が境界なのかわからない」
「フェンスと境界杭の位置が違う」
「外構工事前に境界を確認したい」
「隣地から越境を指摘された」
このような場合は、見た目だけで判断せず、早めに土地家屋調査士へ相談しましょう。

監修:北川 巧(土地家屋調査士)
石川県会 第698号 / 所在地:石川県小松市 石川県土地家屋調査士
独立2年目ながらも持ち前の若さと体力を活かして、顧客への迅速で新設な対応で、日々業務に取り組んでいます。不動産の表示に関する登記や土地家屋調査士の業務について一般の方目線で分かりやすくアドバイス、解説します。

監修:北川 巧
(土地家屋調査士)
石川県会 第698号 / 所在地:石川県小松市 石川県土地家屋調査士
独立2年目ながらも持ち前の若さと体力を活かして、顧客への迅速で新設な対応で、日々業務に取り組んでいます。不動産の表示に関する登記や土地家屋調査士の業務について一般の方目線で分かりやすくアドバイス、解説します。
