土地を売却したり、境界を確認したりするときに「地積測量図」という言葉を聞くことがあります。
法務局で土地の資料を調べたときに、
「公図はあるけど地積測量図とは何が違うの?」
「この数字を見れば境界の位置までわかる?」
「地積測量図があれば測量しなくてもいい?」
「昔の地積測量図は信用できる?」
「そもそも地積測量図が法務局にない」
と疑問に思う方も多いでしょう。
地積測量図は、土地の形状や面積、筆界点間の距離、座標などを確認するための非常に重要な資料です。
ただし、地積測量図があるからといって、必ず現在の土地境界をそのまま確定できるわけではありません。
作成された年代や測量方法、座標の有無、現地の境界標の状態によって、資料としての使い方が変わります。
この記事では、地積測量図とは何か、何が記載されているのか、公図や確定測量図との違い、法務局での取得方法、見るときの注意点まで解説します。
地積測量図とは?
地積測量図とは、一筆の土地について行った測量の結果を示した図面です。
不動産登記令では、地積測量図を「一筆の土地の地積に関する測量の結果を明らかにする図面」としています。
土地の分筆登記や地積更正登記などを行う際に作成され、法務局へ提出されることがあります。
現在の地積測量図には、土地の形だけでなく、面積をどのように計算したか、境界点間の距離、境界点の座標などが記録されています。
不動産登記制度については、e-Gov法令検索「不動産登記規則」も参考になります。
地積測量図には何が書いてある?
現在の不動産登記規則では、地積測量図に主として次の事項を記録することになっています。
- 地番区域の名称
- 方位
- 縮尺
- 対象土地の地番
- 隣接地の地番
- 地積
- 面積の求積方法
- 筆界点間の距離
- 座標系
- 筆界点の座標値
- 境界標の表示
- 測量年月日
そのため、比較的新しい地積測量図を見ると、土地の形状だけでなく、各境界点の位置関係までかなり詳しく確認できます。
地番
図面の中央付近には、対象土地と隣接地の地番が表示されています。
住所と地番は別のものなので、地積測量図を取得するときも、基本的には土地の地番を確認する必要があります。
地積
地積とは、登記上の土地面積です。
たとえば、
「123.45㎡」
などと表示されています。
ただし、地積測量図の作成年や登記の経緯によっては、現在の登記簿地積と図面の内容をあわせて確認する必要があります。
筆界点間の距離
土地の角となる筆界点と筆界点の間の距離が表示されています。
たとえば、
A-B 10.235m
B-C 8.427m
といった形です。
この数字を見ることで、土地の一辺のおおよその長さを確認できます。
座標値
比較的新しい地積測量図では、各筆界点についてX座標・Y座標が記録されていることがあります。
座標値は、境界標がなくなった場合に筆界点を復元するための重要な資料になる可能性があります。
ただし、座標があるからといって、一般のGPSやスマートフォンへ入力すれば境界が分かるわけではありません。
座標系や基準点との関係を確認し、測量機器によって現地へ復元する必要があります。
境界標
境界点に、
- コンクリート杭
- 金属標
- 金属鋲
- 石杭
などの境界標が設置されている場合、その種類が図面に記載されることがあります。
現地の境界杭と地積測量図を照合するときの重要な手掛かりになります。
地積測量図の見方
地積測量図を取得したら、まず次の順番で確認するとわかりやすいです。
【地積測量図を見る順番】
対象地番を確認
↓
土地の形を確認
↓
隣接地番を確認
↓
地積を確認
↓
辺長を確認
↓
境界点の符号を確認
↓
座標値を確認
↓
境界標の種類を確認
↓
測量年月日を確認
特に重要なのが「測量年月日」です。
同じ地積測量図でも、昭和時代に作成されたものと、最近作成された座標付きのものでは、利用できる情報量が大きく異なります。
古い地積測量図は現在のものと内容が違う
地積測量図は、現在の形式が昔からずっと同じだったわけではありません。
古い地積測量図には、
- 座標値がない
- 境界標の記載がない
- 辺長だけが記載されている
- 現在より簡易な求積方法になっている
- 現地との位置関係を復元しにくい
といったものがあります。
そのため、古い地積測量図を見て、
「この図面に線があるから境界は絶対ここ」
と判断するのは危険です。
現在の境界を確認する場合は、地積測量図だけでなく、公図、境界確認書、現地の境界標、隣地の測量資料などもあわせて調査します。
地積測量図と公図の違い
地積測量図と混同されやすいのが「公図」です。
両者は役割が違います。
| 項目 | 地積測量図 | 公図 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 一筆の土地の測量結果を示す | 周辺土地との位置関係を示す |
| 対象 | 原則として一筆の土地 | 一定範囲の複数の土地 |
| 面積 | 記載される | 通常は面積確認が目的ではない |
| 辺長 | 記載されることがある | 通常は確認できない |
| 座標 | 新しい図面では記載される | 図面の種類による |
| 境界標 | 記載される場合がある | 通常は表示されない |
| 主な用途 | 境界・面積・測量成果の確認 | 地番配置や周辺土地の確認 |
公図を見ると、
「この土地の北側は○番」
「道路との間に水路の地番がある」
「土地がどのように並んでいる」
といったことを確認できます。
一方、地積測量図は、その土地を実際に測量した結果を詳しく確認する資料です。
地積測量図と確定測量図の違い
地積測量図と確定測量図も混同されやすい図面です。
確定測量図は、一般的には土地の境界を関係者と確認したうえで行った測量成果を示す図面を指します。
ただし、「確定測量図」は不動産登記法上の正式な図面名称ではありません。
| 項目 | 地積測量図 | 確定測量図 |
| 法務局への備付け | 登記手続に伴い備え付けられる | 原則として民間の測量成果 |
| 主な目的 | 登記上の測量結果を示す | 現地境界を確認した測量結果を示す |
| 法務局で取得 | 可能なものは取得できる | 通常は法務局では取得できない |
| 境界確認書との関係 | 必ず一体とは限らない | 境界確認資料と一緒に保管されることが多い |
売却時に「確定測量図がありますか」と聞かれた場合、地積測量図を持っているだけでは要求を満たさないことがあります。
何のために図面が必要なのかを確認しましょう。
地積測量図はすべての土地にある?
すべての土地について、地積測量図が法務局に備え付けられているとは限りません。
古くから存在する土地で、一度も分筆や地積更正などがされていない場合には、地積測量図がないことがあります。
たとえば、次のようなケースです。
- 昔から一筆のまま土地を所有している
- 古い時代に登記された土地
- 分筆履歴がない
- 地積更正登記をしていない
- 古い資料が電子化されていない、または資料が十分に残っていない
「地積測量図がない=土地に問題がある」という意味ではありません。
ただし、売却・分筆・建築などで正確な境界を確認する必要がある場合は、土地家屋調査士による測量が必要になることがあります。
地積測量図はどこで取得できる?
地積測量図は、法務局で取得できます。
現在は主に次の方法があります。
1. 法務局の窓口
最寄りの法務局で、地積測量図等の図面証明書を請求できます。
全国の登記所では地図・図面情報交換サービスが行われているため、対象土地の管轄外の登記所でも取得できる場合があります。
2. 郵送
請求書を郵送して取得する方法もあります。
返信用封筒や切手などが必要になります。
3. オンライン請求
登記・供託オンライン申請システムを使って、インターネットから図面証明書を請求できます。
交付方法は、
- 指定した登記所で受け取る
- 郵送してもらう
方法があります。
なお、オンライン請求をしたからといって、証明書そのものがPDFで交付されるわけではありません。
4. 登記情報提供サービス
証明書が必要ではなく、図面の内容をインターネット上で確認したい場合には、登記情報提供サービスを利用できることがあります。
法務局が交付する「証明書」と、インターネット上で確認する「登記情報」は扱いが異なるため、提出先がある場合は必要な形式を確認しましょう。
地積測量図の取得に必要なもの
基本的には、対象土地の次の情報を準備します。
- 所在
- 地番
地積測量図等の図面は誰でも請求できます。
所有者本人でなくても取得することができ、通常は所有者の委任状も必要ありません。
ただし、住所と地番は同じとは限りません。
「○○市○○町1丁目2番3号」という住所だけでは請求できない場合があるため、登記事項証明書、権利証、固定資産税関係資料などで地番を確認しましょう。
地積測量図の取得費用
2026年時点の法務局案内では、図面証明書の手数料は次のようになっています。
| 請求方法 | 手数料 |
| 法務局窓口・郵送 | 1事件につき500円 |
| オンライン請求+窓口受取 | 1事件につき440円 |
| オンライン請求+郵送受取 | 1事件につき470円 |
郵送の場合は別途郵送料などが必要になることがあります。
手数料は改定される可能性があるため、取得時には法務局の最新案内を確認してください。
地積測量図があれば境界は確定している?
ここは非常に重要です。
地積測量図が存在することと、「現在、隣地所有者との間で境界について何の問題もないこと」は同じではありません。
たとえば、
- 地積測量図が非常に古い
- 現地の境界杭がなくなっている
- 杭と図面の位置が合わない
- 隣地所有者が別の境界を主張している
- 公図と現地が大きく違う
- 道路との境界が未確認
といったケースがあります。
そのため、土地売却や分筆のために境界を確定する必要がある場合は、地積測量図だけで判断せず、現地測量や境界確認が必要になることがあります。
地積測量図の座標があれば境界杭を復元できる?
比較的新しい地積測量図に座標値が記録されていれば、境界杭がなくなっていても筆界点を復元できる可能性があります。
ただし、次の確認が必要です。
- どの座標系を使っているか
- 公共座標か任意座標か
- 基準点が残っているか
- 周辺の境界点と整合するか
- 測量後に土地や構造物が変わっていないか
座標値だけを見て、自分で境界杭を設置するのは避けましょう。
土地家屋調査士が現地を測量し、資料との整合性を確認したうえで復元します。
地積測量図と現地の境界杭が合わない場合
図面上の距離や座標と、現地の境界杭が一致しない場合もあります。
考えられる原因は、
- 境界杭が工事で移動した
- 仮杭を境界杭と誤認している
- 古い図面の精度に限界がある
- 座標基準が異なる
- 現地の塀と境界線を混同している
などです。
この場合も、勝手に杭を移動させてはいけません。
過去の地積測量図、境界確認書、周辺土地の図面などを調査し、土地家屋調査士に現地測量を依頼しましょう。
地積測量図が必要になる主な場面
地積測量図は、次のような場面で確認されます。
土地を売却するとき
土地の面積や境界資料を確認するため、不動産会社や買主から地積測量図の有無を聞かれることがあります。
土地を分筆するとき
既存の地積測量図は、過去の境界・測量成果を確認する重要な資料になります。
境界杭がなくなったとき
座標や辺長などから、境界点の復元可能性を検討します。
家を建てるとき
敷地形状、接道幅、境界位置などの確認資料として利用されることがあります。
地積更正登記をするとき
過去の測量結果と現在の測量結果を比較する資料になります。
地積測量図だけで土地を測らずに売却できる?
土地によって異なります。
地積測量図が新しく、境界標も現地に残っており、買主も追加測量を求めていないのであれば、既存資料を利用して売買するケースもあります。
一方で、
- 地積測量図が古い
- 境界杭がない
- 面積が登記簿と合わない
- 買主から確定測量を求められている
- 分筆して売る
- 越境物がある
- 道路境界が不明
といった場合は、新たな測量が必要になる可能性があります。
「地積測量図があるから測量不要」と一律に判断しないようにしましょう。
土地家屋調査士に相談した方がよいケース
次のような場合は、地積測量図を取得した後、土地家屋調査士へ相談することをおすすめします。
- 図面の見方がわからない
- 地積測量図が古い
- 地積測量図が法務局にない
- 境界杭と図面が一致しない
- 座標から境界を復元したい
- 公図と地積測量図が違う
- 売却前に境界を確認したい
- 分筆を予定している
- 登記面積と実測面積が違う
- 隣地との境界について認識が違う
土地家屋調査士は、地積測量図だけでなく、公図、登記記録、境界確認書、道路資料などを調査し、現地との整合性を確認します。
よくある質問
Q. 地積測量図は誰でも取得できますか?
はい。
所有者本人でなくても、法務局で取得できます。
Q. 地積測量図がない土地は問題がありますか?
地積測量図がないだけで問題のある土地とはいえません。
古くから一筆のまま存在している土地などでは、地積測量図が作成されていないことがあります。
Q. 地積測量図があれば境界は確定していますか?
必ずしもそうとは限りません。
作成年、測量精度、現地の境界標、隣地との確認状況なども調査する必要があります。
Q. 公図と地積測量図はどちらが正確ですか?
役割が違うため単純には比較できません。
公図は周辺土地との位置関係を確認する資料で、地積測量図は一筆の土地の測量成果を示す資料です。
一般的には、境界点や辺長、座標などを確認するには地積測量図の方が詳しい情報を持っています。
Q. 地積測量図の座標から自分で境界杭を設置できますか?
自己判断で設置するのは避けましょう。
基準点、座標系、周辺資料との整合性を確認する必要があるため、土地家屋調査士へ相談してください。
まとめ|地積測量図は土地の境界・面積を調べる重要資料
地積測量図は、一筆の土地について行った測量結果を示す重要な図面です。
現在の地積測量図には、土地の形状だけでなく、地積、筆界点間距離、座標値、境界標、測量年月日などが記録されています。
重要なポイントは次のとおりです。
- 地積測量図は一筆の土地の測量成果を示す図面
- 分筆や地積更正などの際に法務局へ提出されることがある
- 地番、地積、辺長、座標、境界標などを確認できる
- 古い地積測量図は現在と記載内容や精度が異なる場合がある
- 公図とは役割が異なる
- 確定測量図とも同じものではない
- すべての土地に地積測量図があるわけではない
- 法務局窓口、郵送、オンラインで取得できる
- 所有者本人でなくても取得できる
- 地積測量図があっても現在の境界が確定しているとは限らない
- 座標があれば境界点を復元できる可能性がある
- 図面と現地が合わない場合は土地家屋調査士へ相談する
「地積測量図を取得したけれど見方がわからない」
「地積測量図が古くて現地と合わない」
「法務局に地積測量図がなかった」
「土地を売却・分筆する前に境界を確認したい」
このような場合は、地積測量図だけで判断せず、土地家屋調査士に資料調査と現地確認を依頼しましょう。

監修:北川 巧(土地家屋調査士)
石川県会 第698号 / 所在地:石川県小松市 石川県土地家屋調査士
独立2年目ながらも持ち前の若さと体力を活かして、顧客への迅速で新設な対応で、日々業務に取り組んでいます。不動産の表示に関する登記や土地家屋調査士の業務について一般の方目線で分かりやすくアドバイス、解説します。

監修:北川 巧
(土地家屋調査士)
石川県会 第698号 / 所在地:石川県小松市 石川県土地家屋調査士
独立2年目ながらも持ち前の若さと体力を活かして、顧客への迅速で新設な対応で、日々業務に取り組んでいます。不動産の表示に関する登記や土地家屋調査士の業務について一般の方目線で分かりやすくアドバイス、解説します。
