建物種類変更登記とは?居宅・店舗・事務所など用途が変わったときの手続きを解説

建物の登記事項証明書を見ると、「種類」という欄があります。

たとえば、住宅であれば「居宅」、お店であれば「店舗」、会社の建物であれば「事務所」、物を保管する建物であれば「倉庫」などと記載されます。

ところが、建物は長い年月の中で使い方が変わることがあります。

たとえば、

「もともと居宅だった建物を店舗として使っている」
「店舗だった建物を住宅に改装した」
「事務所を居宅として使うようになった」
「倉庫を作業所として使っている」
「登記簿の種類と実際の使い方が違う」

このような場合に関係するのが、建物の種類変更です。

一般的には「建物種類変更登記」と呼ばれることがありますが、正確には、建物表題部変更登記の一種として考えるとわかりやすいです。

結論からいうと、登記簿上の建物の種類と、現在の主な用途が変わっている場合は、建物表題部変更登記が必要になることがあります。

この記事では、建物種類変更登記とは何か、どのような場合に必要になるのか、建物の種類の具体例、必要書類、手続きの流れ、注意点を土地家屋調査士の視点でわかりやすく解説します。

目次

建物種類変更登記とは?

建物種類変更登記とは、登記簿に記載されている建物の「種類」を、現在の利用状況に合わせて変更する手続きです。

たとえば、登記簿上は「居宅」となっている建物を、実際には店舗として使用している場合、登記簿の種類を「店舗」や「居宅・店舗」などに変更することがあります。

法律上は、建物の種類だけを変更する登記というより、建物の表題部に記載されている内容を変更するための「建物表題部変更登記」として扱われます。

不動産登記法では、登記されている建物の表題部の登記事項に変更があった場合、所有者は変更登記を申請する必要があるとされています。

詳しく確認したい方は、e-Gov法令検索「不動産登記法」を参考にしてください。

建物の「種類」とは?

建物の種類とは、その建物が主に何の用途で使われているかを示す登記上の表示です。

不動産登記規則では、建物の種類は、主たる用途によって定めるものとされています。

代表的な建物の種類には、次のようなものがあります。

建物の種類主な用途の例
居宅住宅、一戸建て、住居として使う建物
共同住宅アパート、マンションなど複数世帯が住む建物
店舗小売店、飲食店、美容室、販売店舗など
事務所会社、士業事務所、事業所など
倉庫商品、資材、道具などを保管する建物
車庫自動車を保管する建物
工場製造、加工などを行う建物
作業所小規模な作業、修理、加工などを行う建物
旅館宿泊施設として利用する建物
診療所医療行為を行う施設
物置家財、道具、農機具などを保管する建物

建物の種類は、建築確認上の用途や固定資産税上の用途と必ず一致するとは限りません。

登記では、現地の利用状況や建物の構造、主な用途を確認して判断します。

建物の種類については、e-Gov法令検索「不動産登記規則」も参考になります。

建物種類変更登記が必要になりやすいケース

建物種類変更登記が必要になるのは、登記簿上の種類と現在の主な用途が変わった場合です。

代表的なケースを整理します。

変更前の種類変更後の利用状況考えられる登記上の種類
居宅住宅の一部を店舗にした居宅・店舗
居宅建物全体を店舗にした店舗
店舗店舗をやめて住宅として使う居宅
事務所住宅として使うようになった居宅
居宅事務所として使うようになった事務所または居宅・事務所
倉庫作業スペースとして使う作業所など
車庫物品保管に使う倉庫または物置
共同住宅一棟全体を事務所化した事務所

ただし、建物の種類は名前だけで決まるものではありません。

実際の用途、建物の構造、利用の割合、継続性などを見て判断します。

居宅から店舗に変えた場合

よくあるのが、住宅の一部を店舗として使うケースです。

たとえば、自宅の一部を美容室、整体院、飲食店、事務所、教室などに改装する場合です。

この場合、建物全体が店舗になったのか、一部だけが店舗になったのかで登記上の種類が変わることがあります。

住宅としての利用も残っている場合は、「居宅・店舗」や「居宅・事務所」のように複数の種類で表示されることがあります。

一方、建物全体を店舗として使うようになった場合は、「店舗」として変更することがあります。

店舗から居宅に変えた場合

店舗として登記されている建物を住宅として使うようになった場合も、種類変更が問題になります。

たとえば、昔は商店だった建物を改装して住宅として使っているケースです。

この場合、現況が住宅として利用されていれば、登記上の種類を「居宅」に変更することがあります。

古い商店街や親族から相続した建物では、登記簿上は「店舗」や「店舗・居宅」のまま残っていることがあります。

売却や相続の際に、現況と登記簿の不一致が見つかることがあります。

事務所から居宅に変えた場合

会社事務所として使っていた建物を、住宅として利用するようになるケースもあります。

この場合も、現在の主な用途が居住用であれば、建物の種類を「居宅」に変更することがあります。

ただし、事務所スペースが残っている場合は、現況に応じて「居宅・事務所」とすることもあります。

倉庫・車庫・作業所の種類変更

倉庫、車庫、作業所などは、実際の使い方が変わりやすい建物です。

たとえば、登記簿上は車庫となっている建物を、実際には物置や倉庫として使っている場合があります。

また、倉庫を改装して作業所として使うこともあります。

このような場合、建物の構造や用途、利用状況を確認し、登記上の種類を変更する必要があるか判断します。

建物種類変更登記の手続きの流れ

建物種類変更登記は、一般的に次の流れで進めます。

【手続きの流れ】

① 登記事項証明書を確認する
 ↓
② 現在の建物の使い方を確認する
 ↓
③ 建物の構造・床面積・改装内容を確認する
 ↓
④ 必要書類を集める
 ↓
⑤ 土地家屋調査士が現地調査を行う
 ↓
⑥ 変更後の建物の種類を判断する
 ↓
⑦ 申請書・添付書類を作成する
 ↓
⑧ 法務局へ建物表題部変更登記を申請する
 ↓
⑨ 登記完了後、登記簿の種類が変更される

種類変更だけであれば比較的シンプルに見えますが、実際には床面積や構造も変わっていることがあります。

たとえば、店舗化にあわせて増築していた場合は、種類変更だけでなく床面積変更も同時に必要になる可能性があります。

必要書類の例

建物種類変更登記で必要になる書類は、建物の状況や変更内容によって変わります。

一般的には、次のような書類が関係します。

書類内容
登記事項証明書現在の登記内容を確認するための資料
住民票・法人登記事項証明書など申請人の住所・氏名・名称を確認する資料
委任状土地家屋調査士に依頼する場合に必要
建物図面・各階平面図床面積や建物の形状に変更がある場合に関係
建築確認済証・検査済証改装や用途変更の内容確認に使うことがある
工事完了引渡証明書改装工事の内容確認に使うことがある
現況写真現在の利用状況を確認する資料
固定資産税課税明細書市区町村の課税上の用途確認に使うことがある
用途変更に関する行政資料建築基準法上の用途変更が関係する場合に確認することがある

すべての書類が必ず必要になるわけではありません。

単純な種類変更だけで済む場合もあれば、増築、減築、用途変更、附属建物の追加・取壊しなどが同時に関係する場合もあります。

建物種類変更登記の費用

土地家屋調査士に依頼する場合、建物種類変更登記の費用は、一般的に5万円〜15万円程度が目安です。

ただし、次のような場合は費用が上がることがあります。

ケース費用が上がりやすい理由
床面積も変わっている測量・図面作成が必要になる
増築や減築がある種類変更以外の変更登記も関係する
附属建物がある主である建物と附属建物の整理が必要
建物が古い登記簿と現況の照合に時間がかかる
資料が少ない建築資料や現況確認に時間がかかる
店舗・事務所化している用途や構造の確認が必要になる

正確な費用は、登記事項証明書と現地の状況を確認しなければ判断できません。

建物種類変更登記の注意点

建物種類変更登記では、単に「今こう使っているからこの種類にする」と簡単に決められるわけではありません。

いくつか注意点があります。

建物の一部だけ用途が変わった場合

建物の一部だけを店舗や事務所にした場合、建物全体の種類をどう表示するか確認が必要です。

たとえば、1階を店舗、2階を住宅として使っている場合は、「店舗・居宅」や「居宅・店舗」となることがあります。

どちらを先に記載するかは、主たる用途や利用状況を見て判断します。

建築基準法上の用途変更とは別に考える

建物の種類変更登記と、建築基準法上の用途変更は同じものではありません。

登記は法務局で行う不動産の表示に関する手続きです。

一方、建築基準法上の用途変更は、建築基準関係規定への適合や確認申請が関係することがあります。

たとえば、住宅を店舗や飲食店に変更する場合、登記だけでなく建築基準法や消防法、保健所の許可などが関係することがあります。

登記を直せば行政上の手続きがすべて完了するわけではない点に注意しましょう。

固定資産税の用途と登記の種類が違うことがある

固定資産税の課税明細書に記載されている用途と、登記簿上の種類が違うことがあります。

固定資産税は市区町村の課税制度であり、登記は法務局の制度です。

そのため、固定資産税上は店舗として評価されていても、登記簿上は居宅のままということがあります。

申請時には、登記簿、現況、固定資産税資料を照合して確認します。

売却前に種類変更が必要になることがある

建物を売却する際、登記簿上の種類と現況が大きく違うと、買主や金融機関から指摘されることがあります。

たとえば、登記簿上は居宅なのに、現況は店舗として使われている場合です。

融資や担保評価に影響することもあるため、売却前に登記を整理しておくことがあります。

自分で申請する場合に注意すること

建物種類変更登記は、本人申請が絶対にできないわけではありません。

ただし、建物の種類の判断は、単純なようで実務上は迷いやすい部分です。

特に、次のような場合は自己判断が難しくなります。

  • 建物の一部だけ用途が変わっている
  • 増築や減築も同時に発生している
  • 附属建物がある
  • 建物図面や各階平面図が必要になる
  • 固定資産税と登記簿の内容が違う
  • 建築確認上の用途と登記上の種類が違う
  • 古い建物で現況と登記簿が大きく違う

このような場合は、土地家屋調査士へ相談した方が安全です。

土地家屋調査士に相談した方がよいケース

次のような場合は、土地家屋調査士に相談するのがおすすめです。

  • 登記簿上の種類と現況が違う
  • 居宅を店舗や事務所に変更した
  • 店舗を住宅として使うようになった
  • 倉庫や車庫の用途が変わった
  • 建物の一部だけ用途が変わっている
  • 増築や減築もしている
  • 附属建物がある
  • 売却前に登記内容を整理したい
  • 固定資産税と登記簿の内容が違う
  • 建物表題部変更登記が必要か判断したい

土地家屋調査士は、建物の表示に関する登記を扱う専門家です。

建物の種類、構造、床面積、附属建物の有無、現況と登記簿の違いを確認し、必要な登記を整理できます。

よくある質問

Q. 建物種類変更登記とは何ですか?

登記簿上の建物の種類を、現在の利用状況に合わせて変更する手続きです。

正確には、建物表題部変更登記の一種として扱われます。

Q. 居宅を店舗にしたら登記が必要ですか?

登記簿上の種類と現況が変わっている場合は、建物表題部変更登記が必要になることがあります。

建物全体を店舗にしたのか、一部だけ店舗にしたのかによって、表示の仕方が変わります。

Q. 建物の種類変更はいつまでに申請する必要がありますか?

建物の表題部の登記事項に変更があった場合、原則として変更があった日から1か月以内に申請する必要があります。

ただし、実際に申請が必要かどうかは変更内容によって判断します。

Q. 固定資産税の用途が変わっていれば登記も変わっていますか?

自動では変わりません。

固定資産税は市区町村の制度、登記は法務局の制度です。

固定資産税上の用途と登記簿上の種類が違うこともあります。

Q. 種類変更だけなら自分でできますか?

本人申請ができないわけではありません。

ただし、種類の判断、床面積変更の有無、附属建物の整理などが関係する場合は、土地家屋調査士に相談した方が安心です。

まとめ|建物の用途が変わったら種類変更登記を確認しよう

建物種類変更登記とは、登記簿上の建物の種類を、現在の用途に合わせて変更する手続きです。

正確には、建物表題部変更登記の一種として考えるとわかりやすいです。

重要なポイントは次のとおりです。

  • 建物の種類は、建物の主たる用途を示す登記上の表示
  • 居宅、店舗、事務所、倉庫、車庫、工場などの種類がある
  • 登記簿上の種類と現況が変わった場合は変更登記が必要になることがある
  • 居宅の一部を店舗にした場合は、複数用途で表示されることがある
  • 建物の種類変更は建物表題部変更登記の一種
  • 固定資産税の用途と登記簿の種類は一致しないことがある
  • 建築基準法上の用途変更とは別に考える必要がある
  • 増築、減築、附属建物がある場合は種類変更だけで済まないことがある
  • 売却や融資の前に登記内容を整理した方がよい場合がある

「登記簿では居宅なのに、実際は店舗として使っている」
「店舗を住宅に改装した」
「事務所や倉庫の用途が変わった」
「固定資産税と登記簿の内容が違う」

このような場合は、登記事項証明書と現況を確認し、必要に応じて土地家屋調査士へ相談しましょう。

監修者情報

監修:北川 巧(土地家屋調査士)

独立2年目ながらも持ち前の若さと体力を活かして、顧客への迅速で新設な対応で、日々業務に取り組んでいます。不動産の表示に関する登記や土地家屋調査士の業務について一般の方目線で分かりやすくアドバイス、解説します。

監修者情報

監修:北川 巧

(土地家屋調査士)

独立2年目ながらも持ち前の若さと体力を活かして、顧客への迅速で新設な対応で、日々業務に取り組んでいます。不動産の表示に関する登記や土地家屋調査士の業務について一般の方目線で分かりやすくアドバイス、解説します。

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