家を建てたあと、部屋を増やしたり、サンルームを付けたり、車庫や物置を作ったりすることがあります。
このようなときに意外と見落とされやすいのが、増築後の登記です。
「増築したら必ず登記が必要なの?」
「小さな増築でも法務局に申請するの?」
「未登記増築のままだと何が問題?」
「売却するときにバレる?」
「土地家屋調査士に依頼する費用はいくら?」
このような疑問を持つ方は少なくありません。
結論からいうと、増築によって建物の床面積・構造・種類など、登記簿の表題部の内容が変わる場合は、建物表題部変更登記が必要になることがあります。
特に、床面積が増える増築をした場合は、登記簿の内容と実際の建物の状態が一致しなくなるため注意が必要です。
この記事では、増築したときに登記が必要になるケース、未登記増築のリスク、手続きの流れ、費用、必要書類、土地家屋調査士に相談すべき場面を初心者にもわかりやすく解説します。
増築したら登記は必要?
増築した場合、必ず登記が必要になるわけではありません。
ただし、増築によって登記簿に記載されている建物の内容が変わる場合は、建物表題部変更登記が必要になることがあります。
建物の登記簿には、主に次のような情報が記載されています。
- 所在
- 家屋番号
- 種類
- 構造
- 床面積
- 附属建物
増築によって床面積が増えたり、建物の構造や種類が変わったりした場合は、登記内容を現況に合わせる必要があります。
建物表題部の変更登記については、不動産登記法に申請義務が定められています。詳しく確認したい方は、e-Gov法令検索「不動産登記法」も参考になります。
登記が必要になりやすい増築の例
増築といっても内容はさまざまです。
次のような工事では、登記が必要になる可能性があります。
部屋を増やした場合
1階に部屋を増やした、2階を増築した、平家を2階建てにしたといった場合は、床面積が変わるため、表題部変更登記が必要になる可能性が高いです。
建物の外形や各階の面積が変わるため、建物図面や各階平面図の作成が必要になることがあります。
サンルームや囲い込みをした場合
サンルームやベランダの囲い込みは、床面積に入るかどうかの判断が問題になりやすい部分です。
壁や屋根があり、建物の一部として利用できる状態になっている場合は、床面積に算入される可能性があります。
単なる屋根だけの設置なのか、建物の一部といえる状態なのかによって判断が変わります。
車庫や物置を作った場合
車庫や物置を新しく作った場合、それが登記上の建物に該当するかどうかを確認する必要があります。
土地に定着していて、屋根や壁があり、独立して利用できる状態であれば、附属建物として登記が必要になることがあります。
一方で、簡易な物置や移動できるものは、登記対象にならない場合もあります。
店舗や事務所部分を増やした場合
居宅の一部を店舗や事務所にしたり、店舗部分を増築したりした場合は、床面積だけでなく建物の種類にも影響することがあります。
たとえば、登記簿上は「居宅」でも、実際には店舗併用住宅になっている場合、建物の種類変更を検討することがあります。
登記が不要なことが多い工事
一方で、次のような工事では、通常は登記が不要なことが多いです。
内装リフォームだけの場合
壁紙の張り替え、床材の交換、キッチンや浴室の交換など、建物内部のリフォームだけであれば、通常は登記は不要です。
床面積や構造、種類が変わらないためです。
外壁や屋根の補修だけの場合
外壁塗装、屋根の補修、防水工事なども、通常は登記内容に影響しません。
ただし、屋根の種類や構造表示に影響する大きな変更がある場合は確認が必要です。
設備交換だけの場合
トイレ、給湯器、エアコン、洗面台などの設備交換だけであれば、登記は不要です。
登記は建物の設備内容ではなく、建物の物理的な状態や用途、床面積を記録するものだからです。
未登記増築を放置するリスク
増築したのに登記をしていない状態を、一般に未登記増築と呼ぶことがあります。
普段住んでいるだけならすぐに問題にならないこともありますが、売却や相続の場面で問題になることがあります。
売却時に手続きが止まることがある
建物を売却しようとしたとき、登記簿の床面積と実際の建物面積が違うことが判明すると、買主や不動産会社、金融機関から是正を求められることがあります。
未登記増築があると、売買契約や引渡しの前に表題部変更登記を行う必要が出ることがあります。
住宅ローン審査に影響することがある
買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関は建物の登記内容や担保評価を確認します。
登記簿と現況が大きく違うと、融資手続きに影響することがあります。
特に、増築部分が登記されていない場合は、追加資料や登記の是正を求められることがあります。
相続時に確認が大変になる
親や祖父母が増築した建物を相続した場合、いつ増築したのか、どの部分が未登記なのか、資料が残っているのかがわからないことがあります。
古い未登記増築は、建築確認書類や工事証明書が残っていないことも多く、手続きに時間がかかる原因になります。
固定資産税と登記が一致しないことがある
増築部分について、市区町村の固定資産税台帳には反映されているのに、法務局の登記簿には反映されていないことがあります。
固定資産税を払っているからといって、登記が済んでいるとは限りません。
売却や相続の際には、固定資産税資料と登記簿の内容を照合することが大切です。
増築後の登記手続きの流れ
増築によって登記が必要な場合、一般的には建物表題部変更登記を行います。
1. 登記簿と現況を確認する
まず、現在の登記簿を確認し、実際の建物とどこが違っているかを確認します。
床面積が違うのか、構造が違うのか、附属建物が増えているのかを整理します。
2. 現地調査を行う
土地家屋調査士が現地を確認し、増築部分の位置、形状、構造、床面積を調査します。
建築図面があっても、実際の建物が図面どおりとは限らないため、現況確認が重要です。
3. 必要書類を集める
増築の内容に応じて、建築確認済証、検査済証、工事完了引渡証明書、工事請負契約書、固定資産税資料などを確認します。
古い増築では資料が残っていないこともあるため、その場合は別の資料で補うことがあります。
4. 図面を作成する
床面積や建物の形が変わる場合は、変更後の建物図面や各階平面図を作成します。
各階平面図では、増築後の床面積や求積方法を示す必要があります。
5. 法務局へ申請する
必要書類と図面が整ったら、管轄法務局へ建物表題部変更登記を申請します。
審査が完了すると、登記簿の内容が現在の建物の状態に合わせて変更されます。
増築登記に必要な書類
増築後の表題部変更登記では、一般的に次のような書類が関係します。
- 建物の登記事項証明書
- 建築確認済証
- 検査済証
- 工事完了引渡証明書
- 工事請負契約書
- 増築部分の図面
- 現地写真
- 固定資産税関係資料
- 建物図面
- 各階平面図
- 委任状
すべての書類が必ず必要になるわけではありません。
増築の時期、建物の構造、資料の有無によって必要書類は変わります。
増築登記の費用目安
増築後の建物表題部変更登記を土地家屋調査士に依頼する場合、費用は建物の状況によって変わります。
比較的シンプルな増築であれば、8万円〜15万円程度が目安です。
建物の形状が複雑な場合、資料が不足している場合、古い未登記増築がある場合は、15万円〜25万円程度になることもあります。
また、増築部分だけでなく、既存建物全体の床面積や図面を確認する必要があるため、単純に「増築部分だけ測ればよい」とは限りません。
土地家屋調査士に相談した方がよいケース
次のような場合は、土地家屋調査士に相談するのがおすすめです。
- 増築したが登記していない
- 売却前に未登記増築を指摘された
- 登記簿の床面積と実際の建物が違う
- 固定資産税の床面積と登記簿面積が違う
- 古い増築で資料が残っていない
- 車庫や物置を建てた
- サンルームを設置した
- 建物の一部を店舗や事務所にした
- 法務局や不動産会社から変更登記を求められた
増築の登記が必要かどうかは、工事内容や建物の状態によって判断が変わります。
自己判断で放置せず、早めに確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 増築したら必ず登記が必要ですか?
必ずではありません。
ただし、増築によって床面積、構造、種類など登記簿の表題部の内容が変わる場合は、建物表題部変更登記が必要になることがあります。
Q. 小さなサンルームでも登記が必要ですか?
構造や利用状況によります。
屋根や壁があり、建物の一部として利用できる状態であれば、床面積に入る可能性があります。
Q. 未登記増築は売却時に問題になりますか?
問題になることがあります。
買主や金融機関から登記内容と現況の一致を求められ、売却前に変更登記が必要になる場合があります。
Q. 固定資産税を払っていれば登記も済んでいますか?
いいえ。
固定資産税台帳に増築部分が反映されていても、法務局の登記簿に反映されているとは限りません。
Q. 増築登記は誰に依頼しますか?
土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
建物の現況調査、図面作成、建物表題部変更登記の申請を行います。
まとめ|増築したら登記簿と現況が合っているか確認しよう
増築した場合、必ず登記が必要になるわけではありません。
しかし、増築によって床面積、構造、種類など登記簿の内容が変わる場合は、建物表題部変更登記が必要になることがあります。
重要なポイントは次のとおりです。
- 増築で床面積が増えた場合は登記が必要になることがある
- サンルームや車庫、物置も登記対象になる場合がある
- 内装リフォームや設備交換だけなら不要なことが多い
- 未登記増築は売却、融資、相続で問題になることがある
- 固定資産税台帳と法務局の登記簿は別物
- 増築後の登記は建物表題部変更登記になることが多い
- 建物図面・各階平面図が必要になる場合がある
- 専門家に依頼する場合は土地家屋調査士が担当する
「増築したけれど登記していない」
「売却前に未登記増築を指摘された」
「登記簿の床面積と実際の建物が違う」
「増築部分が登記対象になるかわからない」
このような場合は、早めに土地家屋調査士へ相談し、建物表題部変更登記が必要か確認しておきましょう。

監修:北川 巧(土地家屋調査士)
石川県会 第698号 / 所在地:石川県小松市 石川県土地家屋調査士
独立2年目ながらも持ち前の若さと体力を活かして、顧客への迅速で新設な対応で、日々業務に取り組んでいます。不動産の表示に関する登記や土地家屋調査士の業務について一般の方目線で分かりやすくアドバイス、解説します。

監修:北川 巧
(土地家屋調査士)
石川県会 第698号 / 所在地:石川県小松市 石川県土地家屋調査士
独立2年目ながらも持ち前の若さと体力を活かして、顧客への迅速で新設な対応で、日々業務に取り組んでいます。不動産の表示に関する登記や土地家屋調査士の業務について一般の方目線で分かりやすくアドバイス、解説します。
