未登記建物とは?放置するリスク・確認方法・登記費用をわかりやすく解説

親から相続した家、昔に建てた離れ、増築した倉庫や物置。
こうした建物の中には、実際には存在しているのに、法務局に登記されていないものがあります。

これを未登記建物といいます。

未登記建物は、住んだり使ったりするだけなら今すぐ困らないこともあります。
しかし、売却・相続・建て替え・融資のタイミングで問題になるケースが多く、放置していると後から手続きが複雑になることがあります。

この記事では、未登記建物の意味、放置するリスク、確認方法、登記に必要な手続きと費用を初心者向けに解説します。


目次

未登記建物とは?登記されていない建物のこと

未登記建物とは、建物が存在しているのに、法務局の登記簿に登録されていない建物のことです。

本来、建物を新築したときや、表題登記がない建物を取得したときは、建物表題登記を申請する必要があります。

建物表題登記では、次のような情報を登記します。

  • 建物の所在
  • 家屋番号
  • 種類
  • 構造
  • 床面積
  • 所有者

つまり、表題登記は建物の「最初の登録」です。

この表題登記がされていない状態が、未登記建物です。


未登記建物によくあるケース

未登記建物は、古い住宅や相続した不動産でよく見つかります。

代表的なケースは次のとおりです。

  • 昭和時代に建てた家が登記されていない
  • 親が建てた離れや倉庫だけ未登記になっている
  • 増築部分を登記していない
  • 車庫・物置・作業小屋が登記されていない
  • 建築後に表題登記をしないまま何十年も経っている
  • 相続して初めて未登記だと気づいた

特に古い建物では、当時の資料が残っておらず、誰が建てたのか、いつ建てたのかを後から確認するのが難しくなることがあります。


未登記建物でも今すぐ困らないことはある

未登記建物でも、日常生活には支障がないことがあります。

たとえば、

  • そのまま住める
  • 倉庫や物置として使える
  • 固定資産税が課税されていることがある
  • すぐに売却しないなら問題が表面化しにくい

というケースです。

そのため、「登記していなくても今まで困らなかった」という人も少なくありません。

ただし、ここで注意したいのは、固定資産税が課税されていることと、法務局で登記されていることは別という点です。

自治体が建物を把握して固定資産税を課税していても、法務局の登記簿には載っていないことがあります。


未登記建物を放置するリスク

未登記建物は、今すぐ困らなくても、将来の手続きで問題になることがあります。

売却時に手続きが止まりやすい

未登記建物があると、不動産売買で問題になりやすいです。

買主や金融機関は、建物の所有者や面積、構造が登記で確認できないと不安に感じます。

そのため、売却前に表題登記を求められることがあります。

特に住宅ローンを利用する買主がいる場合、未登記のままだと融資や登記手続きが進みにくくなることがあります。

相続で誰の建物か整理しにくい

未登記建物は、登記簿上で所有者を確認できません。

そのため、相続の場面で、

  • 誰が建てた建物なのか
  • 誰が相続するのか
  • 遺産分割協議書にどう書くのか
  • 他の相続人が納得するのか

といった問題が起きやすくなります。

特に、親や祖父母が建てた古い建物では、相続人が増えてから手続きをするほど複雑になります。

保存登記や所有権移転登記に進めない

建物の登記は、基本的に

建物表題登記 → 所有権保存登記 → 売買や相続の登記

という順番で進みます。

表題登記がないと、その後の所有権保存登記や所有権移転登記に進めません。

つまり、未登記建物は、まず土地家屋調査士が表題登記を行い、その後に司法書士が権利関係の登記を進める流れになります。

建て替え・増築・融資で問題になる

未登記建物があると、建て替えや増築の際に、現況と資料が合わずに確認や説明が必要になることがあります。

また、金融機関から建物の登記を求められることもあります。

建物の面積や構造があいまいなままでは、不動産の評価や担保設定がしにくくなるためです。


未登記建物かどうかを確認する方法

未登記建物かどうかは、次の方法で確認できます。

登記事項証明書を確認する

法務局で建物の登記事項証明書を取得できるか確認します。

建物が登記されていれば、家屋番号や構造、床面積などが記載されています。

一方、建物が存在しているのに登記事項証明書が取得できない場合、未登記の可能性があります。

固定資産税の課税明細書を確認する

固定資産税の課税明細書に建物が載っている場合でも、未登記の可能性があります。

課税明細の家屋番号の欄が空白だったり、未登記などの記載がある場合は注意が必要です。

名寄帳を確認する

市区町村で名寄帳を取得すると、その人が所有していると扱われている土地や建物を確認できます。

現況の項目と登記の項目で分かれているので未登記であれば登記の部分が空白になることが多いです。


未登記建物を登記する流れ

未登記建物を登記するには、まず建物表題登記を行います。

1. 土地家屋調査士による現地調査

土地家屋調査士が現地で建物を確認します。

主に、

  • 建物の位置
  • 構造
  • 階数
  • 床面積
  • 建築時期
  • 増築の有無
  • 図面との整合性

を調べます。

2. 建物図面・各階平面図を作成する

表題登記には、建物図面と各階平面図が必要です。

古い建物で建築図面が残っていない場合でも、現地を測って登記用の図面を作成します。

3. 所有者や建築時期を確認する

未登記建物では、誰が建てたのか、いつ建てたのかが問題になります。

建築確認済証、工事請負契約書、固定資産税資料、古い写真、聞き取り内容などをもとに、所有者や建築時期を整理します。

4. 法務局へ建物表題登記を申請する

必要書類をそろえて、法務局へ建物表題登記を申請します。

表題登記が完了すると、建物の所在・構造・床面積などが登記簿に記録されます。

その後、必要に応じて司法書士が所有権保存登記を行います。


未登記建物の登記に必要な書類

未登記建物の表題登記では、一般的に次のような資料を使います。

  • 建築確認済証
  • 検査済証
  • 建築図面
  • 工事請負契約書
  • 固定資産税の課税資料
  • 名寄帳
  • 建築時期がわかる写真や資料
  • 所有者を確認する資料
  • 建物図面
  • 各階平面図

ただし、古い建物では資料が残っていないこともあります。

その場合は、土地家屋調査士が現地調査や資料収集を行い、法務局に説明できる形で整理します。


未登記建物の登記費用の目安

未登記建物の登記費用は、建物の規模や資料の有無によって変わります。

目安は次のとおりです。

  • 建物表題登記:10万円〜25万円程度
  • 所有権保存登記:5万円〜10万円程度
  • 登録免許税:別途必要

古い建物で図面がない場合や、増築が複雑な場合、相続関係の整理が必要な場合は、費用が高くなることがあります。


未登記建物でよくある相談例

相続した実家を売却しようとしたところ、不動産会社から「建物が未登記のため、このままでは売却が難しい」と言われるケースがあります。

現地には古い住宅が建っているのに、法務局では建物の登記が見つからない状態です。

この場合、土地家屋調査士が現地を調査し、建物図面と各階平面図を作成して表題登記を行います。

その後、司法書士が所有権保存登記や売買に必要な登記を進めることで、ようやく売却手続きに進めるようになります。

売却直前に未登記が発覚すると、数週間から数か月スケジュールが遅れることもあります。


まとめ|未登記建物は早めに確認しておくと安心

未登記建物は、今すぐ住んだり使ったりするだけなら問題が表面化しないこともあります。

しかし、売却・相続・建て替え・融資の場面では、登記されていないことが大きな支障になる場合があります。

特に重要なのは次の点です。

  • 未登記建物とは、法務局に登記されていない建物のこと
  • 固定資産税が課税されていても、登記済みとは限らない
  • 売却や相続の前に問題が発覚しやすい
  • まずは登記事項証明書・課税明細・名寄帳で確認する
  • 登記する場合は、土地家屋調査士が表題登記を担当する
  • その後、必要に応じて司法書士が保存登記を行う

未登記建物は、時間が経つほど資料が見つかりにくくなり、相続人も増えて手続きが複雑になりやすいです。

相続した家や古い離れ、倉庫、物置が未登記かもしれないと思ったら、早めに土地家屋調査士へ相談して、現状を確認しておきましょう。

監修者情報

監修:北川 巧(土地家屋調査士)

独立2年目ながらも持ち前の若さと体力を活かして、顧客への迅速で新設な対応で、日々業務に取り組んでいます。不動産の表示に関する登記や土地家屋調査士の業務について一般の方目線で分かりやすくアドバイス、解説します。

監修者情報

監修:北川 巧

(土地家屋調査士)

独立2年目ながらも持ち前の若さと体力を活かして、顧客への迅速で新設な対応で、日々業務に取り組んでいます。不動産の表示に関する登記や土地家屋調査士の業務について一般の方目線で分かりやすくアドバイス、解説します。

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