家を新築したあとに必要になる最初の登記が、建物表題登記です。
新築住宅を建てた方の中には、
「登記は司法書士が全部やってくれるのでは?」
「建物表題登記と保存登記は何が違うの?」
「いつまでに申請しないといけないの?」
「必要書類は何を準備すればいい?」
「土地家屋調査士と司法書士のどちらに依頼するの?」
と疑問に思う方も多いです。
結論からいうと、建物表題登記は、新築した建物を初めて登記簿に記録するための手続きです。
そして、建物表題登記は不動産の「表示に関する登記」にあたるため、専門家に依頼する場合は土地家屋調査士が担当します。
一方、建物表題登記が完了したあとに行う所有権保存登記や抵当権設定登記は、司法書士が担当するのが一般的です。
また、建物表題登記には申請期限があります。
不動産登記法では、表題登記がない建物の所有権を取得した者は、所有権取得の日から1か月以内に表題登記を申請しなければならないとされています。
この記事では、建物表題登記とは何か、申請期限、必要書類、費用、手続きの流れ、土地家屋調査士と司法書士の役割の違い、放置した場合のリスクを初心者にもわかりやすく解説します。
建物表題登記とは?
建物表題登記とは、新しく建てられた建物を、初めて法務局の登記簿に記録する手続きです。
新築した建物は、完成しただけでは法務局の登記簿に自動で記録されるわけではありません。
所有者が申請することで、初めて建物の登記記録が作られます。
建物表題登記によって、登記簿の「表題部」に建物の基本情報が記録されます。
建物表題登記で記録される内容
建物表題登記では、主に次のような情報が登記されます。
- 建物の所在
- 家屋番号
- 建物の種類
- 建物の構造
- 床面積
- 新築年月日
- 表題部所有者の住所
- 表題部所有者の氏名
たとえば、一般的な住宅であれば、種類は「居宅」、構造は「木造かわらぶき2階建」や「木造合金メッキ鋼板ぶき2階建」などのように記録されます。
床面積は、1階、2階など各階ごとに記載されます。
このように、建物表題登記は、建物の物理的な状況や所有者を最初に登記簿へ記録する手続きです。
なお、建物表題登記の申請義務や期限は、不動産登記法に定められています。詳しく確認したい方は、e-Gov法令検索「不動産登記法」も参考になります。
建物表題登記と所有権保存登記の違い
建物表題登記とよく混同されるのが、所有権保存登記です。
どちらも新築建物に関係する登記ですが、役割が違います。
建物表題登記は建物の基本情報を記録する登記
建物表題登記は、建物の所在、種類、構造、床面積など、建物の物理的な情報を登記する手続きです。
いわば、建物登記簿の最初のページを作る手続きです。
建物表題登記が完了することで、その建物の登記記録が法務局に作られます。
所有権保存登記は所有権を公示する登記
所有権保存登記は、建物の所有権を登記簿の権利部に記録する手続きです。
この登記によって、誰がその建物の所有者であるかを権利の面から公示します。
住宅ローンを利用する場合は、所有権保存登記のあとに抵当権設定登記を行うのが一般的です。
担当する専門家も違う
建物表題登記は、土地家屋調査士の業務です。
一方、所有権保存登記や抵当権設定登記は、司法書士の業務です。
そのため、新築後の登記は次の流れになることが多いです。
- 建物表題登記:土地家屋調査士
- 所有権保存登記:司法書士
- 抵当権設定登記:司法書士
新築住宅の登記は、土地家屋調査士と司法書士の連携によって進むことが多い手続きです。
建物表題登記はいつまでに申請する?
建物表題登記には申請期限があります。
不動産登記法では、表題登記がない建物の所有権を取得した者は、所有権取得の日から1か月以内に表題登記を申請しなければならないとされています。
新築住宅の場合、一般的には建物が完成し、所有者が建物の所有権を取得した時点から1か月以内と考えられます。
実務上は、「建物完成後1か月以内」と説明されることも多いです。
ただし、正確には所有権取得の日が基準になります。
1か月を過ぎたらどうなる?
建物表題登記の申請義務を怠った場合、法律上は10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
ただし、実務上は「1か月を過ぎたら必ずすぐに過料が科される」というより、未登記のまま放置することでさまざまな不都合が生じる点に注意が必要です。
新築後の手続きや住宅ローンに関係する場合は、建物完成後すぐに表題登記の準備を進めるのが安全です。
建物表題登記をしないとどうなる?
建物表題登記をしないまま放置すると、さまざまな問題が起こる可能性があります。
所有権保存登記ができない
建物表題登記が完了していないと、原則として所有権保存登記ができません。
所有権保存登記は、建物の権利部に所有権を記録する登記です。
その前提として、まず建物表題登記によって建物の登記記録が作られている必要があります。
住宅ローンの抵当権設定が進まない
住宅ローンを利用する場合、金融機関は建物に抵当権を設定するのが一般的です。
しかし、建物表題登記が完了していないと、所有権保存登記や抵当権設定登記に進めません。
そのため、融資実行や引渡しスケジュールに影響することがあります。
売却や相続のときに手続きが遅れる
建物が未登記のままだと、将来売却や相続をするときに問題になることがあります。
たとえば、売却しようとしたときに建物が登記されていなければ、買主や金融機関から登記を求められることがあります。
相続の場面でも、未登記建物の所有者や建築時期、床面積などを確認する必要があり、手続きが複雑になることがあります。
固定資産税の情報と登記情報が一致しないことがある
建物が登記されていなくても、市区町村が現地調査などにより固定資産税を課税することがあります。
つまり、固定資産税を払っているからといって、建物表題登記が済んでいるとは限りません。
固定資産税の課税台帳には建物が載っているのに、法務局では未登記というケースもあります。
この状態を放置すると、売却や相続の際に確認作業が増えることがあります。
建物表題登記の手続きの流れ
建物表題登記は、一般的に次のような流れで進みます。
1. 土地家屋調査士に相談する
まず、土地家屋調査士に相談し、建物の状況や必要書類を確認します。
新築住宅の場合は、建築会社やハウスメーカーから受け取る書類が多いため、引渡し前後に早めに確認しておくとスムーズです。
2. 必要書類を集める
次に、建物表題登記に必要な書類を集めます。
建築確認済証、検査済証、工事完了引渡証明書、住民票などが代表的です。
必要書類は、建物の種類や所有者、建築の経緯によって変わることがあります。
3. 現地調査を行う
土地家屋調査士が現地を確認します。
現地調査では、建物の位置、形状、構造、床面積、用途などを確認します。
設計図や建築確認図面だけでなく、実際に完成した建物がどうなっているかを確認することが重要です。
4. 建物図面・各階平面図を作成する
建物表題登記では、建物図面と各階平面図が必要になります。
建物図面は、建物が敷地のどこに建っているかを示す図面です。
各階平面図は、建物の各階の形状、寸法、床面積、求積方法を示す図面です。
これらの図面は、土地家屋調査士が現地調査や資料をもとに作成します。
5. 法務局へ申請する
必要書類と図面が整ったら、建物所在地を管轄する法務局へ建物表題登記を申請します。
申請後、法務局で審査が行われます。
必要に応じて、法務局から補正や追加確認を求められることがあります。
6. 登記完了後、所有権保存登記へ進む
建物表題登記が完了すると、建物の登記記録が作られます。
その後、司法書士が所有権保存登記や抵当権設定登記を進めるのが一般的です。
住宅ローンを利用する場合は、金融機関、司法書士、土地家屋調査士のスケジュール調整が重要になります。
建物表題登記に必要な書類
建物表題登記で必要になる書類は、建物の状況によって変わります。
一般的な新築住宅では、次のような書類が必要になることが多いです。
建築確認関係の書類
- 建築確認済証
- 検査済証
- 建築確認申請書
- 建築確認図面
- 配置図
- 平面図
- 立面図
建築確認関係の書類は、建物がどのような内容で建築されたかを確認するために使います。
ただし、建築確認図面と完成後の現況が完全に一致しているとは限らないため、現地確認も必要です。
所有権を証明する書類
建物の所有者を確認するため、次のような書類が必要になることがあります。
- 工事完了引渡証明書
- 建築工事請負契約書
- 工事代金領収書
- 建築会社の印鑑証明書
- 建築会社の資格証明書または会社法人等番号
新築建物では、誰が建築費を負担し、誰が所有者として建物を取得したのかを確認する必要があります。
所有者の住所を証明する書類
所有者の住所を確認するため、住民票などが必要になります。
共有名義で登記する場合は、共有者全員分の住所証明書が必要になることがあります。
土地家屋調査士が作成する書類
土地家屋調査士に依頼する場合、次のような書類や図面を作成します。
- 建物表題登記申請書
- 建物図面
- 各階平面図
- 調査報告書
- 委任状
建物図面と各階平面図は、建物表題登記で重要な添付書類です。
建物の位置や床面積を正確に示す必要があるため、専門的な判断が必要になります。
建物表題登記にかかる費用
建物表題登記を土地家屋調査士に依頼する場合、費用は建物の規模、構造、用途、資料の有無、現地調査の難易度によって変わります。
一般的な目安は次のとおりです。
一般的な木造住宅の場合
一般的な木造2階建て住宅であれば、8万円〜15万円程度が一つの目安です。
建築確認関係の書類がそろっていて、建物の形状も複雑でなければ、比較的スムーズに進むことが多いです。
店舗併用住宅や共同住宅の場合
店舗併用住宅、二世帯住宅、アパート、共同住宅などの場合は、一般住宅より費用が高くなることがあります。
目安としては、12万円〜25万円程度になることがあります。
理由は、建物の種類、床面積、構造、各階の利用状況などの確認が増えるためです。
複雑な構造や大規模建物の場合
鉄骨造、鉄筋コンクリート造、大規模倉庫、工場、複雑な形状の建物などでは、20万円以上かかることもあります。
建物の規模が大きい場合や、附属建物がある場合も、図面作成や調査に時間がかかります。
追加費用が発生しやすいケース
次のような場合は、通常より費用が上がることがあります。
- 建築確認関係の資料が不足している
- 建築確認図面と現況が違う
- 建物の形状が複雑
- 附属建物がある
- 共有名義で所有者確認が複雑
- 建物が土地の境界付近に建っている
- 敷地境界が不明確
- 古い未登記建物をあわせて登記する
- 増築部分がある
見積もりを取る際は、建物表題登記の費用に何が含まれているかを確認しましょう。
建物表題登記にかかる期間
建物表題登記にかかる期間は、書類の準備状況や法務局の混雑状況によって変わります。
一般的には、書類がそろっていれば1週間〜2週間程度で完了することが多いです。
ただし、次のような場合は時間がかかることがあります。
- 必要書類が不足している
- 建築会社から証明書を取り寄せる必要がある
- 共有者が複数いる
- 建物の現況と図面が違う
- 法務局から補正を求められる
- 住宅ローンのスケジュールに合わせる必要がある
新築住宅では、引渡しや融資実行の日程と関係することが多いため、早めに土地家屋調査士へ相談しておくことが大切です。
建物表題登記でよくあるトラブル
建物表題登記では、次のようなトラブルが起こることがあります。
建築確認図面と現況が違う
建築確認図面どおりに建物が完成しているとは限りません。
現場で変更があった場合、建築確認図面と実際の建物の形状や寸法が違うことがあります。
土地家屋調査士は、現況を確認したうえで登記用の図面を作成します。
床面積の判断で迷う
バルコニー、吹抜け、車庫、ポーチ、小屋裏収納、ロフトなどは、床面積に入るかどうかの判断が必要になることがあります。
登記上の床面積と建築確認上の床面積が完全に一致しない場合もあります。
床面積は登記簿に記録される重要な情報なので、慎重な確認が必要です。
建物の種類の判断が難しい
建物の種類は、居宅、店舗、事務所、共同住宅、倉庫など、建物の用途に応じて登記されます。
たとえば、二世帯住宅や賃貸併用住宅では、居宅なのか共同住宅なのか、長屋なのかなどの判断が問題になることがあります。
建物の種類は、融資や税務上の取扱いに影響することもあるため、実態に合った内容で登記する必要があります。
所有者を誰にするかで迷う
建物表題登記では、表題部所有者を記録します。
住宅ローンの借入人、建築請負契約の名義人、建築費の負担者、土地所有者などが関係するため、誰を所有者として登記するか確認が必要です。
夫婦共有名義にする場合や、親子で資金を出している場合は、持分割合にも注意が必要です。
所有権や持分の判断は、司法書士や税理士への相談が必要になることもあります。
建物が境界に近い場合
建物が敷地境界に近い場合、建物図面の作成で注意が必要です。
建物と境界線との距離を確認し、建物がどの土地上に建っているかを明確にする必要があります。
軒、庇、雨樋、基礎などが隣地に越境していないかも、トラブル防止の観点から確認しておくと安心です。
建物表題登記は自分でできる?
建物表題登記は、所有者本人が自分で申請することもできます。
法律上、本人申請が禁止されているわけではありません。
ただし、実際には次のような理由から、土地家屋調査士に依頼する人が多いです。
- 建物図面・各階平面図の作成が難しい
- 床面積の判断が難しい
- 必要書類の確認が複雑
- 法務局の補正対応に時間がかかる
- 住宅ローンのスケジュールに間に合わせる必要がある
- 建築会社・司法書士・金融機関との連携が必要
特に、住宅ローンを利用する新築住宅では、建物表題登記が遅れると所有権保存登記や抵当権設定登記にも影響します。
そのため、スケジュールを重視する場合は、土地家屋調査士に依頼した方が安心です。
土地家屋調査士に依頼するメリット
建物表題登記を土地家屋調査士に依頼すると、次のようなメリットがあります。
必要書類を正確に案内してもらえる
新築建物の登記では、建築確認済証、検査済証、工事完了引渡証明書など、多くの書類が関係します。
土地家屋調査士に依頼すれば、建物の状況に応じて必要書類を案内してもらえます。
現地調査と図面作成を任せられる
建物表題登記では、建物図面と各階平面図が必要です。
土地家屋調査士は、現地調査を行い、建物の位置や床面積を確認したうえで登記用図面を作成します。
法務局への申請を任せられる
土地家屋調査士は、建物表題登記の申請代理を行えます。
法務局への申請、補正対応、登記完了までを任せられるため、本人の負担を大きく減らせます。
司法書士や金融機関との連携がしやすい
新築住宅では、建物表題登記のあとに所有権保存登記や抵当権設定登記が続きます。
土地家屋調査士に依頼することで、司法書士や金融機関との連携がスムーズになりやすいです。
よくある質問
Q. 建物表題登記とは何ですか?
建物表題登記とは、新築した建物を初めて法務局の登記簿に記録する手続きです。
建物の所在、種類、構造、床面積、所有者などが登記されます。
Q. 建物表題登記はいつまでに申請する必要がありますか?
不動産登記法では、表題登記がない建物の所有権を取得した者は、所有権取得の日から1か月以内に申請しなければならないとされています。
新築住宅では、一般的に建物完成後1か月以内と説明されることが多いです。
Q. 建物表題登記は誰に依頼しますか?
専門家に依頼する場合は、土地家屋調査士に依頼します。
建物表題登記は表示に関する登記であり、土地家屋調査士の専門分野です。
Q. 司法書士では建物表題登記はできないのですか?
司法書士が担当するのは、所有権保存登記や抵当権設定登記など、権利に関する登記です。
建物表題登記は、土地家屋調査士が担当する登記です。
Q. 建物表題登記をしないとどうなりますか?
所有権保存登記や抵当権設定登記が進められず、住宅ローンや売却、相続の手続きに影響することがあります。
また、申請義務を怠ると、法律上は過料の対象になる可能性があります。
Q. 建物表題登記の費用はいくらですか?
一般的な木造住宅では、8万円〜15万円程度が目安です。
ただし、建物の規模、構造、用途、資料の有無、現地調査の難易度によって変わります。
Q. 建物表題登記は自分でできますか?
本人申請も可能です。
ただし、建物図面・各階平面図の作成、床面積の判断、必要書類の準備が難しいため、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
まとめ|建物表題登記は新築後に最初に行う重要な登記
建物表題登記とは、新築した建物を初めて法務局の登記簿に記録する手続きです。
建物の所在、種類、構造、床面積、所有者などを登記し、建物の登記記録を作成します。
重要なポイントは次のとおりです。
- 建物表題登記は新築建物を初めて登記簿に記録する手続き
- 申請期限は所有権取得の日から1か月以内
- 専門家に依頼する場合は土地家屋調査士が担当する
- 所有権保存登記や抵当権設定登記は司法書士が担当する
- 建物表題登記が終わらないと保存登記や抵当権設定登記に進めない
- 必要書類には建築確認済証、検査済証、工事完了引渡証明書、住民票などがある
- 建物図面・各階平面図は土地家屋調査士が作成するのが一般的
- 費用は一般的な木造住宅で8万円〜15万円程度が目安
- 住宅ローンを利用する場合はスケジュール管理が重要
家を新築したあと、「登記はあとでいい」と思って放置してしまうと、住宅ローン、売却、相続、所有権保存登記などに影響することがあります。
新築建物が完成したら、早めに土地家屋調査士へ相談し、建物表題登記の準備を進めておきましょう。

監修:北川 巧(土地家屋調査士)
石川県会 第698号 / 所在地:石川県小松市 石川県土地家屋調査士
独立2年目ながらも持ち前の若さと体力を活かして、顧客への迅速で新設な対応で、日々業務に取り組んでいます。不動産の表示に関する登記や土地家屋調査士の業務について一般の方目線で分かりやすくアドバイス、解説します。

監修:北川 巧
(土地家屋調査士)
石川県会 第698号 / 所在地:石川県小松市 石川県土地家屋調査士
独立2年目ながらも持ち前の若さと体力を活かして、顧客への迅速で新設な対応で、日々業務に取り組んでいます。不動産の表示に関する登記や土地家屋調査士の業務について一般の方目線で分かりやすくアドバイス、解説します。
